ショー！ショー！

バクハツの前走は、中山コースはおろか１２００ｍの距離も初めてだったもの。それを考えれば、コンマ４秒差６着の結果もけっして悪くはない内容だ。陣営も、おそらく前走以上の走りができると見込んで再度同じ舞台を選んだと思えるが、その前走と比べるとかなりレベルの落ちたメンバー構成だ。加えて、鞍上には蛯名騎手。

話は脱線するが、中山競馬場で蛯名騎手のファンと思しき御仁が、直線で“ショー！ショー！”と叫んでいるのを聴いたことはないだろうか。歓声の少ない土曜日の午前中などは、特にラジオのマイクでもよく拾われていたように記憶しているが、以前にこの話をしていて“どんな人なのか、記者席から降りて今度僕が見に行ってきます”と言ってくれたのが、数年前に急逝した優馬の庄司ＴＭ。“いやぁ、もっとイカツイ感じの人かと思ったら、普通のオッサンでしたよ”とのことだった。

引退の時が近づいて、勝ちたい気持ちが前面に出過ぎた騎乗ぶりも目に付いていたが、先週日曜の小倉でようやく今年初勝利をあげたことで、ラストウィークの今週は少しリラックスして乗れるはず。残念ながら無観客で、“ショー！ショー！”の雄叫びも聴くことはできないが、ＪＲＡ史上４位の勝ち星を積み重ねた名騎手の最後の輝きに期待して、心の中で叫ぼうか。