「スペシャル・ワン」

ここは負けられないぐらいだろう。
この馬の戦績を振り返ってみて欲しい。
それこそクラシック路線を外れてからの挙動など露骨すぎやしないか。
ひたすらに府中コースのマイル前後にこだわってのキャリアアップ。
まるで1年かけて安田記念のスペシャリストを作ってきたかのよう。

4走前にCコースとDコースの違いこそあれ、昨年の安田記念と遜色ない時計で快勝。
この時点で、マイルであれば一線級と五分にやれる算段は成り立っていたのだ。
だが慌てることなく、あくまで将来を見据えて経験値を積み上げていく。
3走前にはギリギリまで溜める形、そして2走前は位置を取っての正攻法。
馬群にも入れてみた。
おそらく想定できる状況は全て、ここまでで試せただろう。
結果は…何ら問題なし。
むしろ、別モノの競馬を求められても即対応できるセンスの良さまでも兼ね備えていたことにビックリ。

そして、前走で遂に知らしめたのである。
マイル王となるにふさわしい爆発的なまでの決め手を…
まさしく直線一気。
あれで突き抜けられてしまっては、他は成す術があるまい。

予感が確信へ。
後は現実化させるのみ。
だからこそ、この中間はスパルタと呼ぶにふさわしいハードな調整へと踏み切ったとみる。
それすら、軽く応えてバリバリと動いて見せるのだから不安は皆無。

コース、センス、決め手、更にデキまでもが揃った。

スペシャリスト？
いやいやスペシャル・ワンへ。
イルーシヴパンサー◎