敗因の特定

勝った際の分析も大事だが、より競馬予想に欠かせないのは敗因分析の方。有無も言わさぬディープインパクトのような存在なら考える必要すらないが、そんな稀有な存在は滅多にお目にかかれないし、少なくとも今年の安田記念には見当たらない。個々の分析をしっかり進め、今回の舞台で最も輝ける馬に白羽の矢を立てた(つもり)。



本命はダノンザキッド。これまで馬券内を外したのは皐月賞、富士Ｓ、中山記念の３戦。初めての敗戦となった弥生賞は手前の変換がスムーズとは言えず、エンジン点火に手間取った敗戦。久々の実戦という側面もあっただろうが、大型ゆえの器用さに欠ける部分は多分にあり、その後の敗戦となる皐月賞や中山記念にもその辺りの影響は少なからずあったと思っている。特に近々の中山記念はパンサラッサが特異な展開で押し切る競馬。外枠からの立ち回りはこの馬に限らず難しいものであり、人気を裏切ったのも当然と言えば当然だろう。

もう一戦の富士Sは皐月賞以来で骨折明けの状況。プラス２２キロの馬体には成長分も含まれるが、イレ込み加減からすると如何にも久々の影響があった。それでも一旦は突き抜けようかの場面は作っており、負けはしたものの、走り切れなかった中山での競馬とはまるで中身は違い東京マイルの適性は示した敗戦。『完調なら…』の気持ちは十分に抱かせたものだった。



こうして考えると、３歳になってからまともに力を出し切ったと言えるのは秋のマイルCSくらいということになる。


そのマイルCSはグランアレグリアの貫禄勝ちではあったが、２着シュネルマイスターとは半馬身の少差。条件が整えばポテンシャルでヒケを取らないことは証明されており、中山ほど器用さが求められないワンターンのロケーションが自身の地力発揮に適していることも同時に分かった。当時にガチンコで負けたシュネルマイスターが今回は海外帰りで完調には及ばぬ状況であるならば、ダノンザキッドにチャンスが無い訳がないだろう。


１週前には坂路で自己ベストの５０秒８をマーク。当日まで油断できない気性ではあるが、中山記念のダメージは一切無く、現状では万全のデキと考えて良さそう。負けた競馬がシッカリ分析できているなら、今回の舞台がこの馬にとってほぼベストなのは先述の通りである。唯一、過去からは探れない５８キロという斤量面はあるが、これはどの馬にとってもな部分ではあるし、５２０キロ超の立派な馬格なら、この懸念は他馬より小さいものに感じる。雨に関しても、馬格の印象と父ジャスタウェイの血筋なら気にする必要もない材料だろう。一見、勝ち切れていないことで人気が下がっているのは敗因が特定できている側からすれば単純に美味しい部分なのである。