「規格外と信じて…」

気は悪いがポテンシャル的にはヤバい奴。
もし、まともに走ったら…
これが同馬にデビューから持ち続けていたイメージ。
そして、そんな日は意外と早く訪れた。
前走である。

ピタリと折り合い、勝ち馬は常に射程圏、勝負所も綺麗に捌いて馬場の良い外目へと進路も確保。
後は並びかけてファイトするだけ。
まさしく会心の騎乗と言えよう。
おそらくレーン騎手も勝ちに近い確信を持って追い出したはずだ。
ただし、目の前にいた勝ち馬との差は一向に詰まらなかった。
それどころか、突き放されてしまう始末。
しかも、残念なことにモタれ癖も見せていなかったし、集中力を切らした様子もなかった。
そう、何てことはない。
前走というのは、芝で底を見せた一戦なのである。

確かに悲観するほどの内容でもなかった。
結果はG1で5着。
無事であれば、G1はまだしも並みの重賞ぐらいならば何個かは勝つだろう。
しかし、それでは物足りないのだ。
今までのイメージとのギャップがありすぎる。
ただの過大評価だったということなのか…

そして、そんな時に今回のダートへの挑戦である。
正直、血統的には「こなせる」程度。
少なくともバリバリのダート馬という血筋ではない。
だが、それでも個体で見れば面白いと思う。
あの厚みのあり過ぎる馬体から繰り出される力強いアクション…
そこから生まれる水準を遥かに上回る馬力を最大限に生かせる舞台こそがダートという可能性は大いにありえる。
ついでにダートならば前走で底を見せた切れ不足もパワーで補って余りあろう。

あくまで規格外と信じる。
年一と決めている単勝をここで…
インダストリア◎