タイトル奪取の絶好機

僅か３千票足らずの差だったとはいえ、昨年の年度代表馬を抑えてファン投票第１位に輝いたタイトルホルダー。その第２位エフフォーリアとの鞍上兄弟対決も見ものだが、それ以上に“強敵”となるのが、パンサラッサの存在だ。ケレン味のない逃げ戦法で昨秋のリステッド勝ちから一気にＧIホースまで成り上がったのだから、ここでもよほどのアクシデントがない限りハナは譲らぬ構えだろう。

対するタイトルホルダーも、過去５勝の全ての通過順が“１”である馬だが、同じ通過順で敗れたことは一度もない馬。つまり、逃げることができなかった時は全て負けているわけだ。精神面での成長も窺える今なら、自分のリズムで運ぶことさえできればポジションは問わない、という見方もできるが、こればかりは走らせてみないとわからないところだろう。

宝塚記念は牡馬が出走できるＧIとして唯一の２２００ｍ戦。その特殊な距離のせいもあるかもしれないが、以前はここでＧI初制覇を果たしながら、結局のところＧI勝ちは宝塚記念だけ、という馬も多かった。近年こそその傾向も薄れてきたとはいえ、有力馬が大目標にしづらい時期の一戦でもあり、波乱の目も十分あると考えたい。

◎はヒシイグアス。昨年の初めに中山金杯、中山記念と重賞を連勝した時点では、ともに着差は僅かでも相当な能力の違いを示す内容だっただけに、このまま一気にＧIを勝てると思っていた馬だ。その後はなかなか体調を整えることができず、３戦しか消化していないが、香港カップではラヴズオンリーユーにアタマ差の２着。残る２戦もともに休み明けで完調手前ながらＧIで５着、４着なら、体調次第ではＧIに手が届いていいはずだ。そのチャンスが今回だろう。状態は良くて平行線という馬が多い他の有力勢と比べても、上昇度には大きな魅力を感じる。