思わぬ逆風に立ち向かえ！

矢鱈強かったエヒトの七夕賞。１０００ｍ通過ラップが５８秒５だった淀みのない流れを、勝負どころから持ったままの手応えで進出し、直線では後続を突き放しての完勝だった。ハンデなど恵まれた面もあったことは確かだが、それまでのイメージとは全く違う走りで、同じ小回りの小倉記念でサマー２０００王者の座に就いて、ひょっとすると秋の天皇賞でも面白い存在になるのでは、と思ったのは私だけではないだろう。

しかし、好事魔多し。その七夕賞での激走の疲れが抜けず、予定していた小倉記念を断念するという思わぬ逆風に見舞われた。それでも何とかここに間に合うように仕上げての臨戦で、陣営からも状態に関して煮え切らないコメントが出ている。激走の反動は付き物であり、仕方のないことだが、秋の天皇賞でもと思った身にとって、何も無理してサマー王者を狙いに来る必要はないと考えるのが自然であり、ここで無理をして秋も白紙になるのなら、もう少し間隔を取って毎日王冠あたりでの復帰を目指すのが普通ではないかと思うのだ。それでも使ってきたのは、陣営のコメントには現れない自信ではないか。

新潟では昨夏に３着しているが、それは内回りコースでのもの。未知数の外回り２０００ｍに敢えてチャレンジする必要性は、勝算があってこそだろう。酸いも甘いも噛み分けてきたベテランの継続騎乗で、逆風による人気の重圧もないのであれば、どういう形になるかはわからないが、イチかバチかの勝負騎乗も十分にありうる。今一度、あの七夕賞での衝撃を振り返って一票を投じたい。