菊の新星へ名乗りを

舞台となる中山２２００ｍは、国内の他の競馬場に類を見ない中山外回りのコース形態もあって、特殊な能力が必要となる。特に、おむすび形の頂点となる向正面の残り１２００ｍ地点から４コーナーまで続く緩やかなカーブで、機動力や高いレベルの持久力が要求される。当然、２０００ｍまでならこなせるという馬では厳しく、２２００ｍという距離以上の適性がないと攻略し切れない。

そういう意味では、レースレコードが塗り替えられたダービーを正攻法の競馬で３着と好走したアスクビクターモアに、かなり有利なコースと言えるだろう。皐月賞では５着止まりだったが、中山２２００ｍで皐月賞が行なわれていれば、勝ち負けまであったかもしれない。

そのアスクビクターモアを差し置いて◎に抜擢したのがローシャムパークだ。前走は皐月賞前日の山藤賞で、５着アスクの走破タイムとコンマ２秒差であったが、馬場差を考えればアスクどころか勝ち馬と同等の評価をしていい時計ではなかろうか。しかも、中山２０００ｍの向正面からマクって一気に先頭に立ち、あとは後続を離す一方というレースぶりは、この中山２２００ｍに要求される資質を示したと言えるだろう。ダービー馬の凱旋門挑戦により混沌とする菊路線で、新星誕生のシーンも目に浮かぶ。