本格化はこれから

１年４ヶ月ぶりの実戦ながら、中団から馬群を割り鋭く抜け出してみせたヴェルトライゼンデの前走は圧巻だった。元々はホープフルSで３冠馬コントレイルとコンマ２秒差の接戦を演じていた素質馬。３歳のクラシック路線では結果は出なかったが、まだ成長度合いが他の馬たちと比べると遅く、持てる能力を出し切れるほどの心身のバランスが取れていなかったと感じさせる。

そこから年が明けてのAJCC（２走前）では２着。勝ち切れなかったものの、ここでの好走で能力の裏付けと成長を示す競馬ができていたのは、３歳春の皐月賞の結果から見れば大きな収穫だったと見れる。皐月賞では湿った馬場に脚を取られて勝負所でついていけず８着と惨敗。２走前のAJCCに跨った池添騎手も「馬場適性の差が出てしまった」とコメントしていたが、それでも勝ち馬に食らいついたという事実が成長度合いを示す指標だろう。

今回も降雨の影響から馬場が完全に回復するとは考えにくいが、近２戦のパフォーマンスを考えれば有力の１頭であることは間違いない。より大きな目標へ向けて弾みのつくレースとなることを期待したい。