時代は新たなヒーローを待っている

今年の秋のＧIを振り返ってみると、勝ち馬はスプリンターズＳのジャンダルムに始まって、スタニングローズ、アスクビクターモア、イクイノックス、そして先週のジェラルディーナ。その共通点は、いずれもがＧI初制覇だった。時代は新たなヒーロー＆ヒロインの出現を待っている、ということに他ならない流れだ。

そんなオカルティックな理由だけで、ＧIホースの復活Ｖはないと断じるのはまさしく暴論だが、そうなった背景にはどの路線もハイレベルな群雄割拠で、タイトルホルダーが簡単に勝てるほど甘くはないということ。マイル路線などもその典型と言えそうで、ここは新王者誕生に期待した。

◎はジャステインカフェ。思い描いた通りの競馬で“勝った！”と思わせながら、最後に内をすくわれて２着に甘んじた前走の毎日王冠。その相手が復活したサリオスであれば、それはそれで仕方なかったとも思えるのだが、大外から先頭に立って完全に突き抜けるまでには至らなかったのは、やはり距離ではないかと考えた。追い出しのタイミングや、そもそもの能力が敗因ではなく、あくまで１８００ｍが１ハロン長かった。そう考えると、もちろんマイルならサリオスだって、その他もろもろの有力馬だって、怖くはない。

代表産駒であるデアリングタクトとエフフォーリアの４歳以降の実績から、“早熟”というレッテルを貼られかかっているエピファネイア産駒だが、そんな妄言を吹き飛ばすようなＧI初制覇に期待した。