父の血を継ぐ使命

これまで何度か書いてきたことだが、サンデーサイレンスの父系は私が生きているうちは大丈夫だろうが、いずれ間違いなく途絶える。信じられない人もいるだろうが、それがサラブレッドの歴史であり、どれだけ隆盛を誇った父系でも、それがある程度限定された地域でのものであれば、確実に途絶えるのだ。むしろ、この先の日本の競馬界ではサンデー父系の淘汰が進むはずであり、逆に言えば、そうでなければ未来はない。

とりあえず、ディープインパクトが三冠馬コントレイルを輩出したことで、途絶えるまでの期間も延長されたと言っていいのだが、ディープ以外の系統となると、長く続きそうなのは現状ではステイゴールドぐらいのものだろうか。そんな中で残ってほしいと切望するのが、ステイ同様に晩成型のハーツクライだ。晩成型の父系は必然的に淘汰されやすいのだが、実は必要な血である。桜だってそうではないか。早く咲けば愛でる人も多かろうが、遅れて咲いたものも、結果的には人の心も和ませる。人間だってそうだろう。国内で唯一、ディープに土を付けながら、種牡馬としてはディープに遅れを取り続けてきた馬が、父系としても遅れて隆盛を迎える時が来てもいい。

◎ヒシイグアスには、そんな父の血を継ぐ使命がある。そのためにも何より必要なのが冠だ。ＧIで勝ち負けできなかった過去２戦は、ともに休み明けでのものだが、今回は中４週で順調に使える一戦。ちなみに中４週以内で使えた時はこれまで３戦３勝。休み明けでもそこそこ走るイメージのある馬だが、やはり順調に使われてこその馬であり、年齢を考えても、もう猶予はないだろう。