実力馬ナンバーワン決定戦にあらず

有馬記念が“実力馬ナンバーワン決定戦”でないことは、明白な事実である。季節で言えば春と秋に大レースが集中しているのは、人間だけでなく馬にとっても体調を整えやすい季節だからであり、厳冬期に組まれたこのレースでは各馬の体調のバラつきが大きい。加えてトリッキーな中山２５００ｍは、枠順の内と外でも大きな差が出るコース形態だ。もちろん、一番強い馬が強い勝ち方をしたケースはあっても、そうでないケースの方が多いことは、有馬の波乱の歴史が物語っている。

加えて今年の有馬記念は史上空前のレベルだったジャパンＣの上位３頭が不在。これでは何が勝とうが“実力ナンバーワン”を名乗ることはできない。せめて、上位３頭のうちのどれか１頭でもここに出走していたら、結果はともかくとして、断然の１番人気に祭り上げられていただろう。

◎はカレンブーケドールとした。そのジャパンＣは上位３頭の後塵を拝す形だったが、２・３着馬とはタイム差がなかったものであり、結果４着もこの馬だけがアーモンドアイに真っ向勝負を挑んだ分ではなかったか。最も強かったのはアーモンドアイだが、その次に強い競馬をしたのはこの馬だと思う。であるなら、今回のメンバーの中でナンバーワンの実力を持つのは、ＧIどころか重賞未勝利であっても、この馬かもしれない。たとえ一番強い馬が勝っても好配当なら、喜んで勝負したい。