「悪夢を乗り越えて」

2年前を除けば、ここ4年のアイビスサマーDは54秒半ばを超える時計でしか決着していない。
これは意外と話が深刻なのではないだろうか。
ただでさえ、直線競馬というのは特殊な条件。
どうしてもコース経験がアドバンテージとなるのでリピーターの活躍が増えてしまう。
その結果、新参者は参加しずらくなり代謝は低下。
そして、この状況が長らく続いたことでコミュニティは随分と小さなものに…。
それこそ、昨年の結果がそれを暗に示していよう。
別に杉原騎手の涙の重賞初制覇に因縁をつけるつもりはない。
だが、勝ったビリーバーは別に自身の持ち時計を短縮したわけではないのだ。
ただただ3度目の挑戦にして、与し易しな組み合わせとなっただけ。
今回のメンバーを見ても、どうだろう。
いつもと似た印象しか受けないのだが…。

つまりは1000メートルを54秒半ばで走れば勝負になる世界。
条件戦でも近い時計が出るのだから、格下組がこぞって挑戦したがるのも解らなくはないか。
とはいえ、その温い連中から本命は選びたくはない。
そうなると頼れそうなのは2年前の勝ち馬ぐらいか。

持ち時計はボーダーラインを上回る54秒前半。
昨年こそ6着だったが、あれは内枠から一か八かで枠なりにインに突っ込んでのもの。
参考外とはならない。
それに今回は約1年振りながら、迫力ある馬体に柔らかみのあるフォームと何やら逞しくなって帰ってきたような…。
長らく休んでいたことで逆に、この世界に飼い慣らされていなさそうなのも何より。
今年も再び悪夢の内枠ではある。
だが、それでも外を目指せば話は違う
…そう信じている。

オールアットワンス◎