主役を食うだけの決め手あり

皐月賞馬とダービー馬が揃って出走するのは、２０００年以来実に２３年ぶりのこと。それだけ、順調に夏を越すのが難しいと言えるのだが、ここ２年などは故障以外の理由で両馬が不在ともなっていただけに、菊花賞の権威を保つ意味でも喜ばしいことである。

その今春のクラシックだが、皐月賞とダービーで同じ馬が着順を替えただけの１・２着。その点だけをふまえると、世代レベルはともかくとして２頭の能力が抜けていたとも言えるが、上位４頭までがタイム差なしで、９着馬でもコンマ４秒差だったダービーの結果を考えると、とてもそう判断はできない。ダービーであと一歩届かなかった馬にも出番はあるはずであり、まして皐月賞馬とダービー馬が人気ほど抜けた存在ではないのなら、クラシック不出走組にもチャンスがあるのではないか。

◎は、その後者の中からドゥレッツァを抜擢した。目下４連勝中の上がり馬だが、春は使い込めない体質の弱さがあったもので、休み休みでもキッチリと結果を出してきたあたり、無理をしなかった陣営の判断が実を結んだ形だ。前走も、スローで完全な前残りの流れを差し切った着差以上の内容であり、神戸新聞杯でレコード勝ちのサトノグランツを２歳時の未勝利戦で降しているのなら、ここでも力は十分に足りるはずだ。

基本的にステイヤーではないかもしれないが、昨今の菊では折り合いがきちんと付いて操縦性の高い馬であれば、適性云々ではなく好走できるもの。未知ならぬ確かな魅力に期待したい。