コンマ２秒の壁

イクイノックスの強さにケチを付けるつもりは毛頭ない。自身初のＧI勝ちとなった昨年のこのレースから、一戦ごとに進化を続けており、世界を驚かせたドバイでの快走も凄かったが、かなり厳しい状況下だった前走の宝塚記念勝ちも凄かった。紛れの多いレースならともかく、近１０年で１番人気馬が【６・２・１・１】の秋天であれば、逆らう必要もない。

ただ、ひとつ気になるのは、昨年と同じ休み明けでの臨戦でも、ラスト一冠の菊花賞を見送ってまで勝ちに来た昨年とは少し事情が違う点だ。次にお釣りを残さない仕上げだったことで、次走は有馬記念となったわけだが、今年は未発表ではあるものの、次はジャパンカップという線が濃い。しかも、そこが引退レースとなる可能性も高く、そこを勝つためにも、今年は昨年とは違ってお釣りを残しての臨戦と見るべきだろう。負けるとしたら、ここしかない。

◎ダノンベルーガは、昨年のこのレースを含めてイクイノックスには３戦全てで後塵を拝している。皐月賞では２着の相手にコンマ２秒差の４着、続くダービーではともに同じ着順ながらコンマ４秒差。そして昨年は再びコンマ２秒差の３着だった。ダーにーは距離適性の差でタイム差も広がったと考えていいが、少なくとも２０００ｍではコンマ２秒の壁がある。

ただ、昨年のこのレースの後はジャパンカップに出走できたこと自体、こちらの仕上げにはお釣りが残っていたとは言えまいか。負けて強しの内容だったドバイターフで、能力は再確認できたはずであり、前走の札幌記念はイクイノックスに同じ競馬をさせたとしても来るわけがない度外視できる一戦。同世代の難敵に一矢を報いるチャンスは、もうここしかないはずであり、今年はお釣りなしの仕上げだ。

コンマ２秒の壁を、さあ、超えてゆけ。