神が与えし試練

神は時として人間に厳しい試練を与える。しかしながら、それは克服できる試練であって、人間はそれを乗り越えることにより成長する。そういう意味のことが、確か聖書にあったはずだ。もしも競馬の神が存在（大川さんではない）するなら、大変な試練を◎チェルヴィニアに与えたと思う。

圧巻のアルテミスＳ勝ちから、大本命として迎えるはずだった暮れの阪神ＪＦをトモの不安で回避したことで、これまで勝った馬のいないローテーションでの本番直行という試練。そしてまた、デビューから手綱を取り続けてきた鞍上が、僅か１週前の落馬負傷により、急遽乗り替わりを余儀なくさせられる試練。極めつけは、開催を通じてイン有利のトラックバイアスが続く中での大外１８番枠という試練。はて？　この状況を乗り越えられるのかがテーマである。

まず、いまだかつてない臨戦過程についてであるが、レースを使わずに仕上げる現在の調教技術の進歩を考えれば、ノープロブレムでないかと考える。鞍上の交替についても、確かに別の騎手を確保するには時間がなく、たまたま空いていたジョッキーになったということであっても、誰が乗っても勝てる能力レベルだと思えば、これまたノープロブレム。最後の大外枠も、フルゲートが１８頭になった１９８７年以降の３７回で、５頭勝っているのなら、むしろ好枠なのではないか。

こう考えよう。無事に阪神ＪＦを快勝し、ルメール騎乗で普通の枠順で臨んでいたら、おそらく単勝は２倍を切る断然人気。それが、神が与えし試練のおかげで、ここまで人気が下がるのなら、喜んで買おうではないか。乗り越えられない試練などないのだから。