ここで本物の走りを

このレースにおいては、前年の菊花賞馬がその後も結果を残しての臨戦であれば、手放しで信頼できる、というのが近年の傾向。菊花賞以来の休み明けとなった金鯱賞で２着と格好を付けて臨むドゥレッツァは、まさにそのパターンであり、そもそも菊花賞で◎を打ち、想像以上の強さを見せてくれた馬を嫌う理由などない。

ただ、どうにも引っ掛かるのが現４歳牡馬のレベルの問題。世代のトップクラスだった馬たちが、古馬との戦いとなってから期待ほどの実績を残せていない点は、気懸かりである。ダービー馬と皐月賞馬に決定的な差を広げて勝ったドゥレッツァが、ぶち抜けた能力の持ち主と判断してもいいのだが、あの差は仕掛けのタイミングなど鞍上のアシストがあったこともまた確かだと考えれば、人気ほどの信頼を置けないのではないか。

◎はブローザホーンとした。

前哨戦としての結び付きが強い前走の阪神大賞典でも◎を打った馬だが、３着とはいえ勝ち馬に５馬身以上の差を付けられての完敗であれば、普通は手を出せない。ただ、情状酌量の余地がある。

前走は、２月で定年となった中野栄厩舎から転厩しての初戦だったが、厩舎解散に伴う転厩であり、携わっていたスタッフが一新された形。“この馬はこうだから”という申し送りはあったにせよ、加えて関東から関西への転厩なら、環境の違いに戸惑うな、ということ自体に無理がある。ジョッキーこそ継続騎乗だったものの、案の定、レース後には、調整がうまく行かなかったとの厩舎コメントもあった。そもそも、厩舎によって調整法の違いはあるし、転厩して半月ほどでの出走なら、それもまた仕方あるまい。

加えて、前走が初めての３０００ｍで、阪神も初コースだったのなら、むしろ折り合いを欠いての３着は能力の証明ではないか。２度目の長丁場で、しかも京都コースは心房細動を発症した３走前を除けば２戦２勝。そして何より、前走の失敗をふまえて修正を施しての在厩調整なら、リベンジがあっていいはずだ。前走時にテーオーロイヤルよりも強いと判断した私を含めた多くのファンのためにも、ここで本物の走りを見せてもらいたい。