あの時の◎は間違いではなかったと…

我々の業界における不文律として、前売り重賞で予想を替えること、がある。例えば、土曜版の新聞に掲載した日曜の重賞での◎を、日曜版の新聞で替えること。雨が降らないと思って道悪が空っ下手の馬に◎を打ったところ、予報が変わって日曜は雨、ならばと予想を替えることである。同じレースの土曜版と日曜版で予想が違うというのは、土曜日にその予想を信じて前売りで買ったファンに対しては失礼を通り越して非礼モンであり、けっして許されることではない。

ただ、ひとつだけ許されるのが、印を打った馬が日曜版発行前に取り消してしまったケースである。頻繁に起こることではないが、かと言って珍しいことでもない。

思い起こせば、昨年のＮＨＫマイルＣ。かなり自信を持って◎を打ったクルゼイロドスルが、土曜の朝、日曜版発行前に急遽取り消しとなった。予想のやり直しが強いられたわけだが、正直、代わりに◎を打った馬を覚えていないほどの辛い作業で、全く当たる気がしなかった。もしも、無事に出走できていたらどうだったかはわからないが、以降この馬が出走する度に、◎が間違いだったのか、そうではなかったのかを考えさせられてきた。

３勝クラスを勝ち上がったのが今年の１月。そしてその後の２戦も煮え切らない現状では、出走できていたとしても◎は間違いという結果になった可能性が低くはない。ただ、その後に折り合い面の課題などが生じて出世が遅れた感もあり、３歳春のＧIで勝ち負けになった可能性もあると信じたい。鞍上もテン乗りの３走前で勝利に導いた、リフレッシュ明けの川田騎手なら、あの時の◎が間違いではなかったことを証明する勝利に期待したい。