どの血が隔世遺伝したんだろう？

5歳となる今年まで中距離路線を歩んできたエングレーバー。
それはそうだろう。
シンボリクリスエスの肌にステイゴールドの系譜であるオルフェーヴルで締めた血筋。
細かく構成を見てもスタミナ色の強い血統でしかない。
それこそスプリンターである要素など限りなく0…のはずだった。

だが2走前の1400メートルへの起用で全てが氷解する。

末脚は持続型にも関わらず、スタミナを求められるとサッパリ。
好走するのはスピードを求められた状況時のみ。
良く見れば、首差しの短い寸の詰まった厚み十分の体型…
何ということはない。
血統のイメージにさえ縛られなければ、どこからどう見ても同馬はただの短距離馬だったのだ。

おそらく隔世遺伝というヤツなのだろう。
どこかに眠っていたスプリンターの血が、ここで花開いたというだけの話。
そうでなければ2走前のハイパフォーマンスの説明がつかない。

何はともあれ、レベルの高い短距離馬。
これこそが同馬の本質である。

もちろん、2走前だけ走れば重賞のここでも力は足りる。
前走は続けて使った影響か、はたまた不得手な左回りに嫌気を出したか、どのみち気難しさをみせてのポカに過ぎない。
今回はレース間をあけ心身共にリフレッシュ、更に右回りの小倉であれば、まず前走のようなことはあるまい。
ここを勝つようなら秋には大舞台でも…
個人的には、それぐらいのスケールとみている。