「狼煙を見逃すな！」

春の2冠はサッパリに終わっているヴィクティファルス。
これを実力とするのであれば、何も問題はない。
所詮は、その程度の馬ということで話は済んでしまう。
だが、そうだとするには不可解な一戦が同馬の戦歴には存在するのだ。

それは4走前の共同通信杯。
2着だったとはいえ、並として扱うにはクォリティーが高過ぎやしないか。
このレースを勝ったのはエフフォーリア、3着にシャフリヤールで5着にステラヴェローチェ。
そう、今年の日本ダービー上位3頭を輩出したのは、この組なのである。
確かに当時のシャフリヤールは踏み遅れていた。
ステラヴェローチェにしても直線はゴチャつき脚を使い切れてなどいない。
だがヴィクティファルスだって特別スムーズだったかと言うとそうでもない。
府中のDコースで外から早めに勝ちに動くという強引な形。
エフフォーリアにこそ突き放されたとはいえ、それでも他を抑え込んでの2着というのは、それなりの価値を見出すには十分な内容と言えるのではないだろうか。

思い返せば、内有利の皐月賞では早々と外へ出してしまっていた。
脚をどこまで残せるかの勝負となったダービーでも謎の積極策…。

大舞台に強い池添騎手がこれだけチグハグなことも珍しい。
おそらく考えすぎてしまったのだろう。
勝てるだけの手応えのある馬だからこそ…

ならば、ここは買いの一手。
最後の一冠に向けて、さりげなく東で打ち上がる狼煙を見逃すな！