好みの負け方

VTRを何度見返しても、本来、毎日王冠を勝っていたのは◎マテンロウスカイだとしか思えない。道中からのイン突きの狙いはほぼ上手くいっていたが、直線に入ってから馬群がバラけてくれず、結局前に進路を見出せぬまま馬なりの入線。待たされているうちに内にモタれるような仕草も見せてしまい、鞍上も結局は最後まで無理をさせなかった。手応えからして、捻じ込む隙間さえあれば楽々と突き抜けていたはずで、こればかりは勝負の裏目を引いたと割り切るしかないだろう。まぁ本番に向けてダメージを残さなかった点では多少無理な言い分でもプラスとは捉えられる。その証拠に直前は約１年振りに坂路で併せ馬を消化。自己ベストの５１秒６に迫る猛時計をマークしているのだから、ダメージどころか上積み十分と考えて良いだろう。実績の上で格上となる面々はほぼ秋緒戦であり、この上昇度は大きなアドバンテージとなる。

そんな実力上位馬を喰うほどの人気になりそうなレーベンスティールは馬齢限定のG２セントライト記念を勝ち、近走でハンデG３エプソムC、続けてオールカマーを勝った訳だが、そのメンバーレベルが毎日王冠より高いとは到底思えない。にもかかわらず本来なら毎日王冠を勝っていたと評価する◎マテンロウスカイとこれほどまでに人気の差が生じるのはちょっと不可解。それも私があまりに天邪鬼なだけなのかもしれないが、そもそも春先から言われ続けてきた通り、今年の４歳世代は微妙な世代なのだ。実際の走りの中身と関係ない騎手や連対率などのパッと見の字面で人気するならば嫌ってこそ妙味というものだろう。

中心は強力な５歳世代。久々の実績馬相手に先述の通り上積みで勝負できる点は強調できるし、２番枠という前走のリベンジを期すには申し分ない枠を引き当てたのも面白い巡り合わせと言えるだろう。

重んじる『大事なのは勝ち方より負け方』の理念を以て的中した２０１２年の◎エイシンフラッシュを思い出し、本命に大抜擢してみたい。